2007年10月18日

携帯電話サービスの形態を大きく変える「フェムトセル」


携帯電話サービスを大きく変えるポテンシャルを持った技術として、「フェムトセル」というものを世界中の通信事業者やベンダーがこぞって取組みを進めているとの事。

「フェムトセル」は、ビルの屋上などの設置されている携帯電話の大型の基地局を、小型化・低価格化して一般個人でも導入可能にするシステムの事。既存の携帯電話を使って、自宅では固定回線経由で、外出時には通常の携帯電話として通信するサービスが実現できる事になります。

その様子を図で表すと、
フェムトセル.bmp
図1●携帯電話の基地局を無線LANルーターのように扱えるようにした「フェムトセル」

元々は、マンションの高層階や地下など携帯電話の電波が届きにくい「不感地域」の解消に活用する目的で、基地局の小型化を進めてきたのですが、家庭のルータ並みのサイズまでできるようになった事(未だ価格は若干高いのですが)で、利用コンセプトを拡大しようとしています。
日本で現在製品化・サービス化を進めようとしているのは、NTTドコモとソフトバンク・グループですが、NTTドコモはフェムトセルをあくまでエリア拡大の為に(NTTドコモ管理下の)超小型基地局として扱おうとしています。それは現行制度で運用すると次のような課題がある為です。
・1局毎(つまり家庭毎に)に免許申請が必要
・ユーザーが加入する回線を使うことはできない
・回線にはQoS(quality of service)が必要。回線の途切れは許されない
・既存の基地局と同様に,無停電電源設備(UPS)の設置が必要
・資格を持った電気通信主任技術者が設置する必要がある
・ユーザーによるフェムトセルの持ち運びや,電源のオン/オフはできない (緊急時の為に、設置場所の特定化)
ドコモなどが使う800MHz帯は、ソフトバンク・グループが使っている2GHz帯の周波数と比べて屋内への浸透率が良く、マンションの高層階などは除いて一般家庭では大きな課題になっていないのです。

一方、ソフトバンク・グループとしては、屋内のカバレッジを抜本的に改善すると共に、宅内ブロードバンド回線の活用を足掛かりとして、ホームサーバ的な要素も持たせて新たな通信サービスを形作ろうとしています。
但し、上記の現行制度での課題があり、現行制度の改訂を総務省に働き掛けがされています。(家庭用機器を使い易くすると共に、利用目的限定による規制緩和。そうなれば、NTTドコモもサービス化すると明言)

実はこのようなユーザ側からの課題だけでなく、実現する側の技術的な問題も多くあります。
内容説明は書きませんが、具体的には、
(1)フェムトセルと携帯電話のコア・ネットワークとの接続方法
(2)フェムトセル経由のデータ・トラフィックのコントロール方法
(3)商用のブロードバンド回線を伝送路として使う際のセキュリティやQoSの確保
(4)フェムトセルと既存の基地局との干渉の回避方法
(5)フェムトセルと既存基地局間のハンドオーバー
(6)フェムトセルの管理方法
などですが、技術的にはほぼ見通しが立っているとの事です。しかし、実現方法がベンダー間で互換性がない(家族・訪問者でNTTドコモとソフトバンク・グループの両方を持っている場合、両者のAPを持つ必要がある)とか、例えば「フェムトセルと既存基地局間のハンドオーバー」では家から出る時は出来ないようにするなどの制限事項が出る可能性があります。
これは技術的には目処が立っても、方式の選択や運用の方式まで見通しが立った訳ではない事を意味します。

NTTドコモは現行制度の範囲で2007年秋に開始すると発表しています。ソフトバンク・グループは現行制度の改訂が行われる事を前提に、2008年からの商用化を目指しています。


個人的には、NTTドコモの携帯電話で自宅に居ても問題なく使えています。(外出先でも電話・メール機能以外はほとんど利用しない私にとって)自宅でのインターネットアクセスは、大画面のPCで操作したいと考えています。スマートフォン(PDA+携帯電話)でも、データをホームネットワークからアクセスできれば十分です。

そんな訳で、若干否定的な記述になっているかも知れません。


参考資料:

携帯基地局が家庭にやって来る 「フェムトセル」最前線
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070719/277808/?ST=network

(1)フェムトセルはユーザーにどんなメリットをもたらすのか? 
(2)ベンダーによって異なる実現手法 
(3)干渉制御やハンドオーバーにも対応 
(4)投入表明したソフトバンクとNTTドコモは何を目指す? 
(5)残る課題,国内では制度改正が必須? 
posted by 鎌倉太郎 at 02:08
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