2009年08月11日

「Google Wave」の意味と今後の大きな流れ(論評のまとめ)

グーグル社は5月28日、新しいメッセージングおよびコラボレーションのためのプラットフォーム「Google Wave」を発表しました。マイクロソフト社の「Bing」と時期を合わせた発表となった為、「Bing」への注目を奪ったなどと報道されていました。
「Bing」については、本ブログのここも参照。



それから2ヶ月以上が経ち色々出ていた論評・コメントも落ち着いてきたように思います。そこで(大胆にも!)「Google Wave」の本質は何なのかを、Web上の資料を基にまとめてみる事にしました。


1.「Google Wave」とは何か

詳しくはここに解説があります。また、ここここも参照。


これまでのインターネットにおけるコミュニケーション手段として、メール、インスタントメッセンジャー、ブログ、Wikiなどがあり、用途に応じてこれらを使い分けています。「Google Wave」は、これらの異なるタイプのコミュニケーションモデルを、ほとんど連続的に1つのシステム上で扱うプラットフォームとなる事を目指しています。

これまでのインターネットにおけるコミュニケーション手段のマッシュアップともいえます。
また、他にコミュニケーション手段の向上という面でアプローチが無かったかというと、IBMの「Lotus Notes」もコラボレーションプラットフォームを謳ってきているし、Microsoftも同様にSharePointツールでの統合を進めています。


「Google Wave」では、(Chrome OSと同様に)これまでの製品・サービスに拘らず、全てを根本から見直しています。まず、
  • 情報は全てクラウドに持たせようとしています。少なくともネットワーク経由でリアルにアクセスできる(セキュリティはこれからのようですが・・・・)事を前提にしています(グーグル社は「Google Wave」をオープン・ソースとし誰でも構築できるようにする予定との事で、プライベート・クラウドも可能になります)。
  • クライアント(ブラウザ)とサーバ間(従って、サーバ経由で複数のブラウザ間)でリアルな情報の受け渡しができる仕組みの構築をしています。実際に、HTML形式データの小刻みな伝送で、入力の差分を(「送信」をクリックしなくても)送受信する事で、入力の文字単位で相手方のブラウザに表示されるデモをしたようです。リアルな情報受け渡しの為に、HTTP通信としてプロトコルを設定しています。
  • これまでもテキスト、画像、動画などは何らかの形で構造化されていますが、コメントなどは独立して取り扱われていたと思います。「Google Wave」ではコメント(乃至アノテーション、メール)も含めて構造化しています。但し、「Google Wave」は現時点では動画内部データの構造化までは踏み込んでいないように感じられます。この意味で、グーグルが得意とするテキストを中心とする範囲を出ていないと思います。
  • アプリケーションレベルでのプログラミングは、HTML(但し、HTML5相当の仕様を前提)だけでも開発可能な環境を作ろうとしているように見受けられます。コンポーネントの機能は(Google Mapsなどと同様な)APIをインターフェースとして(APIについてHTML5に追加されている)実現するのでしょう。



結果として、「Google Wave」は
「極めてソーシャルな性質を持っており、迅速なやり取りが可能なコミュニティベースのテクノロジを含んでおり、Web 2.0時代にふさわしい現代的なセンスを色濃く反映している」
と云われます。


デモの映像がここにあります。(YouTube動画:約80分)

Google Wave Developer Preview at Google I/O 2009





一部の開発者に対して、「Google Wave API」やプロトコル「Google Wave Federation Protocol」などが公開されているが、公式ブログによると、9月30日には10万人のユーザーにプレビュー公開の予定。更に一般へのプレビューは未確定ですが、2009年末との話しもあります。



2.どうやって拡大していくか

「Google Wave」がこれまでのグーグルのβ版レベルには達していないにも拘らず公開したのは、(マイクロソフトの「Bing」発表潰しもあるでしょうが)グーグルは、
「開発者からのフィードバックがWaveの製品としての進化のために極めて重要だ」
と考えている為。


最初の発表時点を「開発者向けプレビュー版」と銘打って、プラットフォームに関わる開発者をコミュニティーとして取り込もうとしています。これば携帯電話向け(?)OSである「Android」でも、Google MapsなどのAPIでも同様のコミュニティ作りをしています。

このような事は、マイクロソフトなどもSI'erや代理店をコミュニティー(?)として持っているのと同じです。しかし、その性格の違いが、グーグルの特異なところです。


目新しさを志向する開発者によって、ガジェットのようなものが多数出てきて、便利な環境を作っていくのだろうと思います。



3.利益の源泉をどこに求めるか

ここでグーグルの目的は、「SaaS(Software as a Service)のPPT(Personal Productivity Tool)分野における覇権」といいます。

それは無料(或いは限りなく低価格)でサービスを継続する為にも広告が効果を発揮できる分野だからといいます。しかし、現状で「Google Wave」と広告を結びつける方法は分かりません。


YouTubeが漸く最近になって広告化の方向付けができてきたところです。尤も、グーグルはサービス実現を先行させる企業文化のようですが・・・・・・



4.グーグルはマイクロソフトと同じ立場に立つ事になるのか

今後の大きな流れについて、ここでグーグルのマイクロソフト化を懸念しています。

要は、
「・・・・・Waveの一部になるには、新たにプロトコルが必要だ。これは、既にあるプロトコルでもないし、標準でもない。・・・・・・このような制限こそ、Microsoftがしばしば攻撃されてきたことではないか?すでにある製品や技術を作り直し--コピーといってもいい--、開発者に自社のプロトコル--そのプロトコルが「オープン」で独立した団体や標準化団体に管理されていたとしても--を書くように要求することだ」
とし、「巨人マイクロソフト」に代わる「巨人グーグル」になろうとしていると・・・・


ここでは、「企業は将来的にGoogle Waveのプロトコルフォーマットでビジネスデータをやり取りすることになる公算が大きい」としています。


IT分野では、IBM→マイクロソフト→グーグル(?)となるのかどうかは分かりませんが、各々キー企業は覇権を競ってきました。やはり歴史は繰り返すのでしょう。ただ、以前の企業文化・施策での反省を糧にするでしょうから、覇権の形も影響力の発揮方法も異なるでしょうが、次のキー企業から見れば覇権と映っているでしょうから・・・・・・


現状でもIBMは未だ以前に得意としていた分野では、マイクロソフトも及ばないこれまでの力を持っています。注目される(憎まれ役の)企業は変わっても、マイクロソフトもこれまでの企業としての力は(失敗を繰りかえさない限り)継続すると思います(少し早すぎる話しか・・・・)。何しろIT適用範囲は広がっていると共に深みを増してきていますので・・・・・


 
posted by 鎌倉太郎 at 22:52
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