2007年10月22日

米国・地デジ移行に向け、一部量販店でアナログテレビの販売終了


2009年2月にデジタル放送へと移行する米国では、大手家電量販チェーンBest Buyが、アナログテレビの販売を終了したと発表しました。「地デジ移行に向け、Best Buyがアナログテレビの販売終了

一方、日本でも2011年7月24日までにアナログテレビ放送は終了し、デジタルテレビ放送に移行する事になっています。そこで幾つかの方向での議論があります。

一つ目は経済的な面での救済策、二つ目はアナログテレビのリサイクル対策、三つ目は難視聴地域の解消。ここまでは予測のつく事項ですが、総務省、NHKやデジタル放送推進協会のWebページを見る限り、これらの課題に対する施策が見えません。本ブログを読んでいる人には、この3つの課題は問題にならないでしょう(経済上は大丈夫、廃棄は正規にする、難視聴地であればCATVなどを活用)。

しかし、最大のリサイクルの問題は、不法投棄とリサイクル(特に、分解・分離)する社会的パワー不足の問題(我が家もそうですが、期限ギリギリまで利用を延ばし、出来るだけ最新の機器を購入するので、期限になると一気に購入・廃棄が増えるとの予想)になります。
総務省:地上デジタルテレビ放送のご案内
NHK /digital:: ホーム > 地上デジタル放送
社団法人デジタル放送推進協会


四つ目は少し毛色が違って、デジタル化をきっかけとした世代によるテレビに対する考え方の変化です。

地デジ完全移行で約2%が『テレビを見るのをやめる』」という調査記事があります。

これは主に経済的な理由を想定していますが、地デジ移行へのタイミングで、もっと多くの人がメディア接触スタイルを変えるのではないかという議論です。

最近の私たち日本人のメディア接触には、大まかに3グループ。
(1)Aグループ   50代以上を中心とした、これまでとメディア接触が変わらないグループ
(2)Bグループ   新聞はきちんと購読し、テレビも大好きなグループで、彼ら・彼女らは、20代から40代くらいまでを中心とした、パソコンもケータイもテレビも自分なりに使い分けている。
(3)Cグループ   20代まであたりの学生を中心としたケータイが生活の中心のグループ

恐らく、Bグループが現在の多数派でしょう。

Cグループは、ケータイが中心ではあるが案外テレビを見ている。友達とのメールの共通のネタとしてテレビは今も昔も有益だからです。ケータイへのワンセグ受信機能の実装は着実に進んでおり、「テレビ=ワンセグ」または「テレビ=ワンセグ+PC」という層が今後更に増加すると予想しています。

参考:地デジにあえて移行しない人たちがいる
http://it.nikkei.co.jp/digital/column/functions.aspx?n=MMITel000022082007

テレビ(ワンセグも含めて)から何を得るのか、それらは他のメディアで(技術的な発展の結果として、操作は変わるが現状持っている機器で)得られるのではないかといった事を考えてみる機会かもしれません。
posted by 鎌倉太郎 at 01:43| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | IT環境-製品・コンセプト | 更新情報をチェックする

2007年10月18日

携帯電話サービスの形態を大きく変える「フェムトセル」


携帯電話サービスを大きく変えるポテンシャルを持った技術として、「フェムトセル」というものを世界中の通信事業者やベンダーがこぞって取組みを進めているとの事。

「フェムトセル」は、ビルの屋上などの設置されている携帯電話の大型の基地局を、小型化・低価格化して一般個人でも導入可能にするシステムの事。既存の携帯電話を使って、自宅では固定回線経由で、外出時には通常の携帯電話として通信するサービスが実現できる事になります。

その様子を図で表すと、
フェムトセル.bmp
図1●携帯電話の基地局を無線LANルーターのように扱えるようにした「フェムトセル」

元々は、マンションの高層階や地下など携帯電話の電波が届きにくい「不感地域」の解消に活用する目的で、基地局の小型化を進めてきたのですが、家庭のルータ並みのサイズまでできるようになった事(未だ価格は若干高いのですが)で、利用コンセプトを拡大しようとしています。
日本で現在製品化・サービス化を進めようとしているのは、NTTドコモとソフトバンク・グループですが、NTTドコモはフェムトセルをあくまでエリア拡大の為に(NTTドコモ管理下の)超小型基地局として扱おうとしています。それは現行制度で運用すると次のような課題がある為です。
・1局毎(つまり家庭毎に)に免許申請が必要
・ユーザーが加入する回線を使うことはできない
・回線にはQoS(quality of service)が必要。回線の途切れは許されない
・既存の基地局と同様に,無停電電源設備(UPS)の設置が必要
・資格を持った電気通信主任技術者が設置する必要がある
・ユーザーによるフェムトセルの持ち運びや,電源のオン/オフはできない (緊急時の為に、設置場所の特定化)
ドコモなどが使う800MHz帯は、ソフトバンク・グループが使っている2GHz帯の周波数と比べて屋内への浸透率が良く、マンションの高層階などは除いて一般家庭では大きな課題になっていないのです。

一方、ソフトバンク・グループとしては、屋内のカバレッジを抜本的に改善すると共に、宅内ブロードバンド回線の活用を足掛かりとして、ホームサーバ的な要素も持たせて新たな通信サービスを形作ろうとしています。
但し、上記の現行制度での課題があり、現行制度の改訂を総務省に働き掛けがされています。(家庭用機器を使い易くすると共に、利用目的限定による規制緩和。そうなれば、NTTドコモもサービス化すると明言)

実はこのようなユーザ側からの課題だけでなく、実現する側の技術的な問題も多くあります。
内容説明は書きませんが、具体的には、
(1)フェムトセルと携帯電話のコア・ネットワークとの接続方法
(2)フェムトセル経由のデータ・トラフィックのコントロール方法
(3)商用のブロードバンド回線を伝送路として使う際のセキュリティやQoSの確保
(4)フェムトセルと既存の基地局との干渉の回避方法
(5)フェムトセルと既存基地局間のハンドオーバー
(6)フェムトセルの管理方法
などですが、技術的にはほぼ見通しが立っているとの事です。しかし、実現方法がベンダー間で互換性がない(家族・訪問者でNTTドコモとソフトバンク・グループの両方を持っている場合、両者のAPを持つ必要がある)とか、例えば「フェムトセルと既存基地局間のハンドオーバー」では家から出る時は出来ないようにするなどの制限事項が出る可能性があります。
これは技術的には目処が立っても、方式の選択や運用の方式まで見通しが立った訳ではない事を意味します。

NTTドコモは現行制度の範囲で2007年秋に開始すると発表しています。ソフトバンク・グループは現行制度の改訂が行われる事を前提に、2008年からの商用化を目指しています。


個人的には、NTTドコモの携帯電話で自宅に居ても問題なく使えています。(外出先でも電話・メール機能以外はほとんど利用しない私にとって)自宅でのインターネットアクセスは、大画面のPCで操作したいと考えています。スマートフォン(PDA+携帯電話)でも、データをホームネットワークからアクセスできれば十分です。

そんな訳で、若干否定的な記述になっているかも知れません。


参考資料:

携帯基地局が家庭にやって来る 「フェムトセル」最前線
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070719/277808/?ST=network

(1)フェムトセルはユーザーにどんなメリットをもたらすのか? 
(2)ベンダーによって異なる実現手法 
(3)干渉制御やハンドオーバーにも対応 
(4)投入表明したソフトバンクとNTTドコモは何を目指す? 
(5)残る課題,国内では制度改正が必須? 
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2007年10月10日

携帯電話などの非接触充電が実現間近


CEATEC Japan 2007(幕張メッセ)で非接触充電できるシステム(製品)を展示していると紹介しました。実際に会場で見たのは(時間が無かったので)1社だけでしたが、調べてみると非接触で電力伝送ができる機能として、色々な企業・用途で開発を進めている事が判ってきました。

最初に実現しそうな用途としては、携帯電話・PDA・デジカメなどの軽量・携帯機器。判明している範囲でメーカーとしては、
①村田製作所とセイコーエプソンの共同開発
②ユー・ディ・テック社
③東光

ポイントは、
(1)伝送効率   60%~75%(メーカー資料値)
(2)伝送電力   ~200W
(3)充電時間   15分~約2時間30分
(4)実現時期   2008~2010年(実現性能などによる)
(5)ID認証機能、異物検知機能、個人認証機能(安全性などの為の機器確認など)
(6)価格     送電モジュール 1000円程度、受電モジュールは更に低下価格を目標
(7)データ転送が(スピードも)できる事を目指しているが、必要性が理解できません・・・・

出先での充電インフラができれば、非常に有用であると思います(家庭、事務所では今のままでも問題は無い)。充電インフラとしては、メーカの資料は次の所を想定しています。
・新幹線・飛行機の座席
・コンビニ、ショップ、デパート、レストラン、喫茶店など


方式自体は期待されている為、色々なアイディアが出ているようですが、次に実現しそう(してほしい)製品としては電気自動車。無線充電システムは、三菱重工、京都大学、三菱自動車、富士重工業、ダイハツなどの民間企業と行政が共同研究を進めていますが、こちらは道路上に埋設して走行しながら充電する所まで想定しています。その前に公共施設やショッピングセンターなどに装置を設置するのでしょうが、何れにしてもかなりの社会資本投入となるので、未だ先の事です。
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2007年10月06日

CEATEC 2007 画質・薄さを競う「次世代テレビ」


CEATEC Japan 2007(千葉・幕張メッセ、10月2日~6日)では、メーカー各社のテレビに関する展示が派手に行われていました。主には画質と薄さですが、「次世代テレビ」という面からその評価ポイントをメーカーの宣伝キーワードからまとめてみました。(期待もかなり入っています)

テレビの機能というよりも、表示性能・機能という面が強いので、「次世代PCモニタ」という事にもなります。また、薄さ・軽量・表示画面サイズという面から、利用範囲の拡大にも繋がっていく事になると思います(例えば、室内の全ての壁に風景画像、持ち運びのできる電子書籍)。

見落して(?)注目できなかったのですが、シャープが最薄部の厚さが2.88mmの12.1型液晶パネルを展示していたとの事。シャープ(試作品)とソニー(12月発売予定、有機EL、11型、最薄部 3.0mm)の薄さの競争から見ると、方式の違いではないと思いました。

「次世代テレビ」のポイント:
  1. 自然色の再現性
     どのような趣旨を持って調整するかの問題になってきているようで、ソニーのように静止画と動画で分けているケース(デジカメの画像解像度は、フルHDとでも解像度の差が開いてきている)があり、今後は動画の内容により自動切換えするなどの方式も出てくるかも・・・・・
  2. スピード感のある映像表現、パネル応答速度
     液晶では特に、パネル応答速度が残像との関連でポイント。また、大画面が増えてきた事から、1秒間のコマ数を拡大する工夫(60コマを120コマへの補間処理)で、滑らかな動作を実現しようとしています。
  3. 薄さ
     テレビという機能からしたら3mmで十分(過ぎる?)で、後はデザイン・実装との関係だけだろうと思います。寧ろ、パネルの薄さをどのように別の機能へ使っていくかのアイディア勝負で、その使い方のターゲットに合わせた更なる薄さ・性能・機能をパネルに追及する方向にすべき(なる)のでは?  電子書籍をターゲットにした時は、紙並みの薄さと柔軟性(折り畳んだりなど)に対応する必要性があるように・・・・
  4. その他
    ①コントラスト
    ②視野角
    ③精細さ、パネル解像度
     パネルの(面積当りの)解像度は更に上がり、コンテンツの解像度を如何に補う(補間する)かです。コンテンツやそれを放送する側の課題の方が大きいと考えられます。
    ④複数チューナ機能
     画像サイズが大きくなれば、単一の映像を見るだけでなく、複数の映像・情報を同時に表示したい場合もあるでしょう。ここでいう「複数」は、2乃至3程度だと思いますが、「次世代テレビ」の機能面・ネットワーク環境とも関係してくると思います。
    ⑤音質、スピーカ
     5.1CHアンプも実現されていますが、今の一般家庭の家では、リビングに防音装置を設置する必要がありますね。別の技術的な展示会での情報からは、音の広がりを限定する研究もあるようなので、(家族で一緒に見る時に、全員がヘッドホンを付けているなんて寂しい限りなので)リビング内だけに限定するスピーカーが標準に付くようになって欲しいです。
posted by 鎌倉太郎 at 14:17| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | IT環境-製品・コンセプト | 更新情報をチェックする

2007年10月05日

CEATEC 2007 三菱電機の「マルチユーザー・タッチテーブル」

CEATEC Japan 2007(千葉・幕張メッセ、10月2日~6日)の三菱電機のブースで、「マルチユーザー・タッチテーブル」という、テーブルにモニタ機能を持たせて新しいヒューマンインターフェースを模索するデモを実施していました。

YouTubeにデモ操作の映像を登録しましたので、見てください。

マルチユーザー・タッチテーブル
三菱タッチテーブル.bmp
【三菱タッチテーブル】


類似のインターフェースは、今年6月、米国マイクロソフトの新コンセプトコンピュータ「Milan」でも紹介されています。本ブログでも紹介しましたが、再録しておきます。

米国マイクロソフトのビル・ゲイツ氏、
コンシューマー市場向けの新コンピュータを披露




一般家庭向けのコンピューティング機能のインターフェースについては、富士通もCEATEC 2007でデモをしていました。それは、野球のボール程度のキューブを操作します。各キューブ面(8面)に1つづつコマンドを対応させる事によるコマンド数の削減を狙っています。

未だどのようなインターフェースが一般家庭向け(特に子供、高齢者)に良いか、目途が立っている訳ではありません。一時、話題になったTabletPC(タッチモニタによる手書き文字入力、など)も1つの試みでした。


【追加資料】(2007/11/06)
【CEATEC】複数ユーザーを識別するマルチタッチなテーブル,三菱電機が出展

同社によると、「マルチタップのユーザー・インタフェースは多数あるが、複数ユーザーが使え、どのユーザーがどこに触っているかを識別できるのは世界初」(同社の説明員)。



posted by 鎌倉太郎 at 23:46| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | IT環境-製品・コンセプト | 更新情報をチェックする

2007年10月03日

ホームIT化のトレンド-“夢の”有機ELテレビ


ついに登場“夢の”有機ELテレビ 「ソニー復活の象徴に」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/01/news073.html

によると、ソニーは、世界初の有機ELテレビを12月1日に20万円で発売すると発表しました。

有機ELテレビ「XEL-1」では、液晶と異なりバックライトが不要な為、厚さは3ミリにまで抑えることができたとの事。パネル部は11V型(251×141ミリ、960×540ピクセル)。

有機EL(Electro Luminescence)は、電気を流すと発光する有機素材を画素に使うディスプレイ技術。原理的に、薄型化が可能な点に加え、高コントラスト・輝度、広い色域などの特徴をもってます。

特に画質では、黒色を表示する場合有機ELでは画素が発光をやめる為、バックライトを常時点灯する必要がある液晶と異なり「完全な黒」を表現できます。
応答速度は「数μ秒」と液晶の1000倍以上な上、新開発の駆動回路により動画の表示も滑らかという。

ただ、パネルの寿命は3万時間と、一般的な液晶テレビの半分程度ですが、1日8時間で10年は大丈夫としています。業務用では問題になる事もあると思いますが、一般家庭のテレビ用であればその通りでしょう。


東芝も「09年に家庭用テレビ向けの大きめの有機ELを出す」と言われています。

そんな訳で楽しみな題材が多数出てきています。
今後の「我家のIT化」を考えていく過程で調べた事を、本ブログに投稿していきます。
ラベル:有機EL XEL-1
posted by 鎌倉太郎 at 01:28| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | IT環境-製品・コンセプト | 更新情報をチェックする