だまし絵とは、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、トロンプ・ルイユ(Trompe-l'œil)といわれ、シュルレアリスム(超現実主義)においてよく用いられた手法・技法。但し、シュルレアリスムに限って用いられるものではなく、今日では解りやすく「トリックアート」と呼ばれる事も多いとか。トロンプ・ルイユは、フランス語で「眼を騙す」の意味。
この展示会は、名古屋市美術館(開催:2009年4月11日[土]~6月7日[日])から始まる巡回展で、東京の後は関西になり、兵庫県立美術館(2009年8月26日[水]~11月3日[火・祝])で開催されるとの事です。
「Bunkamura」で行われている「奇想の王国 だまし絵展」の出展リストはこちら(pdf)。「伝統的なトロンプ・ルイユ」の作品だけでなく、古今東西の100点以上を集めています。
そのリストを見ると、大きくは
第1章 イメージ詐術(トリック)の古典と分けられていますが、展示作品は5回に渡って入替え・順番変更をするようで、会場入口にある(意識して探す必要がある)印刷されたリストを入手しておく事をお勧めします。
第2章 トロンプルイユの伝統
第3章 アメリカン・トロンプルイユ
第4章 日本のだまし絵
第5章 20世紀の巨匠たち -マグリット・ダリ・エッシャー
第6章 多様なイリュージョニズム-現代美術におけるイメージの策謀
私が見た時の入口からの展示順は、第2章 → 第3章 → 第1章 → 第4章 → 第5章 → 第6章 で、作品の展示順序も会場で入手したリストの順になっていました。
ここに展示会紹介があります。
この解説は名古屋市美術館での開催時のものです(一部展示作品が異なります)が、東京の開催でも解説としてはそのまま読んでも差し障りはありません。
「だまし絵」の専門家ではありませんので解説はできませんが、だまし絵の手法・技法が各章単位(展示のコーナー)でまとめられていますので、代表的な作品をコーナー毎に(できるだけ)高解像画像で紹介します。
今回見た展示順序で、まず「トロンプルイユの伝統」。何気ない日常のもの(場面)を本物と見違うばかりに迫真的な描画力で取組まれた作品。
「静物-トロンプルイユ」コルネリス・ノルベルトゥス・ヘイスブレヒツ(Cornelis Norbertus Gysbrechts)
板壁などは写真以上に「そのものを感じる」ように表現しています。精細・質感や立体感を出す技能・技法(影など)があるのですネ。描かれているのは日常生活の中にある場面ですが、作者の小さな自画像を絵の中にピンでとめたり、キャンバスから画布がめくれたり、非日常のポイントも入れていています。
紹介するもう1つは、「非難を逃れて(Escaping criticism)」ペレ・ボレル・デル・カソ(Pere Borrell del Caso)
キャンバスから額縁を超えて少年が出て来ようとしています。一寸あり得ない事ですが、リアル感があります。
次のコーナーは、「アメリカン・トロンプルイユ」。
「狩の後(After the Hunt)」ウイリアム・マイケル・ハーネット(William Michael Harnett)
技法・手法は「トロンプルイユの伝統」と同様ですが、時代と場所を反映した対象物・シーンになっているようです。
次のコーナーは「イメージ詐術(トリック)の古典」ですが、次回に。