2008年1月初めに、米国の著名なブロガーが、米国の大手SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)であるFacebookで築いたコンタクト情報を、短時間に大量のデータを読み出そうとするスクリプトを走らせた事で、Facebookのアカウントを一時的に停止されたという問題が持ち上がりました。
この辺の内容については、「Facebook上のデータは誰のもの?」に詳しい。
これを機に、データの移行方法の問題は別にして、SNSに登録・蓄積したデータは誰のものなのかというテーマで議論されています。そこでは「データポータビリティ(Data Portability)」と言うキーワードがでてきます。携帯電話の「番号ポータビリティ」という事にもある通り、「データポータビリティ」は一般的な概念のように思いますが、議論は「データポータビリティ」を提唱・推進している団体名とその活動に直結しています。
dataportability.org
設立趣旨:「ユーザーのID、写真、ビデオやその他の個人データはユーザーが選んだツールまたはベンダーによってディスカバリ可能な状態に置かれ、共有できるようにするべきである。認証にはDHCP(コンピュータがネットワーク接続する際に必要な情報を自動的に割り当てるプロトコル)が必要であり、データには分散ファイルシステムが必要である。技術は既に存在するのだから、必要なのはそれらのパーツを統合する完全なリファレンスデザインだけである」
目的:「あらゆる既存の技術とイニシアチブを統合してエンドツーエンドのデータポータビリティを実現するリファレンスデザインを生み出し、このデザインをデベロッパー、ベンダー、エンドユーザーのコミュニティーに普及させる事」
既に、GoogleとFacebookがDataPortabilityに参加することを表明しています。
「ロックイン」については、「あなたのデータは誰のもの?---Webサービスでのロックインは防げるか」に詳しい。
SNSには、大きくは
- プロフィール情報(ユーザーの個人データ)
- 友達情報(ソーシャル・グラフ)
- 活動情報(ニュース、実際の活動)
これらの情報を所有者に断りながらと言いつつも原則全てオープンにしようと言う訳です。これによる問題点が幾つか出てきます。
1.当初のSNSの概念・想定環境と違って来るので、新しい概念・想定環境では既に登録した情報をオープンにしたくないと言う意見。つまり、SNS内という安心感があるからプロフィールを公開しているのであって、持ち出されるのならプロフィールの内容を考え直すユーザーが多いと考えられている。
2.データの所有権の範囲にグレーゾーンがある。例えば、自分のパソコンからインポートしたコンタクトや直接入力したデータはユーザー自身のデータと言えても、SNSでのメンバー同士の関係からアクセスできるようになった情報(たとえな、コンタクトのあるメンバーが入力した情報)に関して、アクセスできる側が所有権を主張するのはおかしいという考え。
3.何処まで公表されるかを認識しないうちに、ベンダー側の基準(アルゴリズム)で公表される可能性。これはSNSとは関係ありませんが、実際に次のような事がありました。Webメールを使っていて、送ったメールに対する回答メールに、送ったはずのない自分の名前がメール本体にあったのです。調べてみると、送ったメールの宛先メールアドレスフィールドは、名前(メールアドレス)の形式になっていました。メールを作成している時の画面には、一切そのような情報が表示されていない・・・・・・「送信」指示をした後の処理で、(親切にも?)システム側が付加していたのです。
4.ID認証については、別項でも書いた「OpenID」を使う方向のようですが、既に理想的な「OpenID」が崩れている状況を見ると、各ベンダーの思惑が優先して「DataPortability」も理想的な形での実現は不可能なのではないかという疑問を持たざるを得ません。
やはり結論としては、自分の責任で判断をする必要があり、当初の想定と違ってきたのであれば、情報を引揚げざるを得ないのではないでしょうか(または、入力オプションには入れない、必須情報は匿名情報や何時でも捨てられる無料メールアドレスの活用)。
勿論、強い人間(?)として、個人名で意見を出している人も多くいます。それでも本当のプライベートは守りたい(守って欲しい)と考えているはず。その範囲が狭いだけ・・・・・
そのうちに、秘密SNSクラブ(?)もできて来るかもしれませんね。



