総務省は2月6日付けで、
「フェムトセル基地局の活用に向けた電波法及び電気通信事業法関係法令に関する取扱方針(案)」に関する意見募集
を掲載し、2008年3月10日までの一般意見募集をしています。これまで本ブログでも以下のように投稿してきましたが、2008年秋頃の実現が見えてきたようです。
・「フェムトセル」への関心が更に高まる (2008年01月29日)
・超小型基地局フェムトセル、米で始動 (2007年11月15日)
・携帯電話サービスの形態を大きく変える「フェムトセル」 (2007年10月18日)
「取扱方針(案)」では、
「・・・フェムトセル基地局は、上述の高層ビル・住宅の屋内や地下街における不感エリアの解消の促進に有効であるばかりではなく、例えば以下のように、移動通信サービスを高度化・多様化するものとして期待される。
① 無線による高速のデータ伝送サービス(基地局等当たりの収容人数を数名程度とすることで、従来の携帯電話サービス等よりも高速のサービス提供が可能。)や映像配信サービス(例えば、フェムトセル基地局へ映像蓄積機能を付与することで、従来よりも多様なダウンロードサービスの提供が可能。)等の実現。
② FMC型のサービス(移動通信サービスの契約者が契約する固定ブロードバンド回線を利用した宅内外一体型のシームレスサービスの提供)の実現。
このように、フェムトセル基地局を用いたサービス提供においては、フェムトセル基地局の設置・運用を柔軟に行うことができるように、フェムトセル基地局と携帯電話コアネットワークの接続における利用者契約回線や宅内既設回線の利用、これに伴う通話品質等の技術基準について、電気通信事業法及びその関連法令の適用関係が明確化されている必要があり、実態に即した所要の規定整備を行う必要がある。・・・」
としており、極めて前向きな事が判ります。
「フェムトセル」の技術的な進展に伴って取扱いが容易になった事を受けて、
- フェムトセル基地局を運用する場合の免許人(通信サービス会社)の監督責任と運用を行うもの(施設管理人、自宅)の運用責任とを明確にする。
- 同基地局の設置の環境・条件の簡略化をすると共に、「フェムトセル」の移設・復旧の為の資格者を不要とする。
- 勿論、これらの為に技術基準の明確化をする。
しかし、利用者から見ると今回の範囲内では未だメリットが少ないのです。今回の範囲では、自宅での携帯電話を「フェムトセル」で一般の高速ネットワークに接続できる所までです。下の図のように、携帯電話を「フェルトセル」を通して、一般の携帯電話ネットに接続する為のバックボーンをどうするかについては、携帯電話サービス会社の問題になるからです。
ソフトバンクは、既に2007年に実験を通してシステム的に可能である事を実証しているようですから、バックボーンはできていると思っていいと思いますが、携帯電話の利用料金が総体的に安くならなければ意味がないのです。
ソフトバンク・孫さんの事ですから、「フェムトセル」経由のインターネットアクセスは無料になる可能性もありますが、段々安い定額制になってきている事、携帯電話でも自宅での利用が増えてきている事を考慮すると、大元の携帯電話料金が安くならないとメリットが感じられないかも。
ソフトバンクの携帯電話を使っている場合のメリットとしては、ソフトバンク・グループが使っている2GHz帯の周波数の屋内への浸透率が良くない事への解決策になります。(ドコモなどが使う800MHz帯は、ソフトバンク・グループが使っている2GHz帯の周波数と比べて屋内への浸透率が良く、マンションの高層階などは除いて一般家庭では大きな課題になっていない)
ドコモは当面不感エリアへの対応で活用していくようです。
今後、ドコモ、ソフトバンクや(今は否定的だが)KDDIは、FMC型のサービス等を充実して行こうとするでしょうから、その時が楽しみです。