こちらでアジャンター石窟群にある大小28の石窟分類として、僧侶たちの生活・修行の場であるヴィハーラ窟(Vihara)と、ストゥーパ(stûpa)を祀るチャイティヤ窟(Chaitya)の2種類があるとしました。第1窟と第2窟は何れもヴィハーラ窟でしたが、今回はチャイティヤ窟です。
- インドの旅(13) - アジャンター石窟群(1)【2015年03月28日】
一方、前期はサータヴァーハナ朝時代(Sātavāhanas、紀元前2世紀ごろ~紀元後2世紀ごろ)で、後期は5世紀後半から6世紀頃に当たります。この間に仏教内での隆盛も変わり、この地方では上座部仏教期から大乗仏教期になっています。
アジャンター石窟群でこの違いが大きく見えるのが、シャカの造形表現です。つまり初期にはシャカを偶像崇拝する事を禁じられていた為に、シャカを抽象化した足や菩提樹などで間接的にそこにシャカが存在するとされました。
従って第9窟と第10窟(前期のチャイティヤ窟)ではストゥーパは簡素ですが(こちらとこちら)、第19窟と第26窟(後期のチャイティヤ窟)ではストゥーパにシャカが刻まれています(こちらとこちら)。
前期のチャイティヤ窟である第10窟の壁面にもシャカが描かれていますが(こちらなど)、これは後期に追加描画したものです。
上掲のチャイティヤ窟では第26窟が最も豪華な造りになっていて、涅槃像も見られ(こちら。パノラマ処理)、ストゥーパを取り囲む壁面にも彫がなされていました(こちら)。
更に第26窟の入口外壁も2階並の高さに明り取りがあったり(こちら)、シャカが彫られていました(こちら)。