(注:LCROSS=Lunar Crater Observation and Sensing Satellite)
これまでにも日本の月周回衛星「かぐや」を初め、衝突させて舞い上がるちりの観測をして水分の存在を確認しようとしていますが、重量とスピードの不足で成果は出なかったようです。
- 月周回衛星「かぐや」のラストショット撮影画像【2009年06月19日】
「エルクロス」は、2009年6月に「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」と一緒に打ち上げられて、まず最初に切り離した「ルナー・リコネサンス・オービター」が月周回して月面の調査をしている間に、高速で衝突する準備をしていました。
(注:LRO=Lunar Reconnaissance Orbiter)
「エルクロス」では、打上げ時のアトラスV上段(セントール・ロケット)をつけたままで月まで向かい、最初に衝突させてそれで舞い上がったちりを観測すると共に、自らもその近くに衝突しようというもの。
衝突のスピードを上げる為、LGALROと呼ばれる地球と月の両方の周りを回るような軌道を使って勢いをつけました。
(LGALRO=月重力アシスト・月帰還軌道: Lunar Gravity Assist, Lunar Return Orbit)。
衝突させる場所は、水(氷)が存在する可能性の高い月の南極付近で太陽の光が当たらない月のクレーターに設定されていました。
ミッションの概略をアニメーションにしたYouTube動画があります。
LCROSS Mission Overview - NASA Official Video
実際に衝突する際の(NASA TV)映像はこちら。
LCROSS Lunar Impact
衝突で舞い上がったちりの観測は、月周回軌道にある「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」が観測しますし、地上での観測体制も取っているようでした。今回の計画推進者によると「全てが巧く行った」との事で、観測結果が楽しみです。